教務部より

総合的な探究の時間【1年生・2年生】工夫・改善・品質管理講座

2023年11月9日 13時08分

総合的な探究の時間【1年生・2年生】分野:社会理解

〈工夫・改善・品質管理講座〉

講演「QCサークル活動について」

講師:持地 淳 氏

(QCサークル福島地区幹事長・㈱日産自動車いわき工場管理課)

事例発表「サイクルタイム28sへの挑戦」

発表者:デンソー福島㈱福島工場モールドサークル

事例発表「パンパン足よスリムにな~れ」

発表者:養護老人ホーム希望ヶ丘ホームひまわりサークル

 

 去る9月15日(金)、19日(火)の2日間にわたり、「工夫・改善・品質管理講座」を行いました。

 企業では製品の不適合品(いわゆる不良品)をなくしたり効率よく仕事を進めたりするための工夫や、サービスの質の向上を目指す取り組みが日常的に行われています。そうした管理・改善活動を行う企業内の小集団を「QCサークル」と呼びます。QCは品質管理(Quality Control)の略語です。卒業後、就職する人の多い本校生にとって、QCは必ず知っておかなければならないことです。

 企業で実際に行われているQCサークル活動に触れることで工夫・改善の大切さを知り、実社会に役立つための基礎を養う目的で、今回の総探ではQCについての講演と事例発表の機会を設けました。

 まずは両日とも講師の持地淳様より講演をしていただきました。企業でのQCサークル活動の説明にとどまらず、社会人として大切な心構えや考え方、仕事をすることの意味なども含めた非常に有意義なお話をいただきました。

 続いて2年生対象に、デンソー福島㈱のモールドサークルさんの事例発表が行われました。製造業の職場で「誰もがやりやすい職場」を目指した工夫・改善の事例です。生産の現場に新しく導入された自動機をめぐり、作業工程のサイクルを、理想タイムである28秒にするための試行錯誤のドラマでした。

 同じ作業に関わる年齢も経験も体格も異なるメンバーが「誰もが」理想のタイムで、しかも負担なく「やりやすい」動きを追求していく過程は本当に面白く、興味深いものでした。2年生には工業科しかありませんので、多くの生徒のみなさんが製造業やインフラ関係に就職します。通常の工場見学や現場見学では味わえないような、自分が働く姿をイメージできる事例発表だったのではないでしょうか。

 さて、工業科と家庭科の生徒がいる1年生には、養護老人ホームの希望ヶ丘ホームのひまわりサークルさんの事例発表がありました。利用者さん(高齢者)の足がむくんでしまうという状態を何とか改善できないかと職員さんたちが奮闘する物語です。問題となっていることは何かを、データをとって明らかにし、改善活動の計画を立て、みなさんで勉強と試行錯誤を繰り返し、見事に「むくみ」が解消されるという、ドラマティックな展開に感心しました。

 福祉施設に限らず、「人」が相手のサービスにも様々な改善の余地があり、情熱と粘り強さを持って取り組めば、サービスは向上するのだと実感しました。

 2つの事例発表に共通することは、きちんとしたデータをもとに考察をし、試行錯誤を繰り返している点です。QCの考え方を身に付け、どのような仕事に就いても「工夫」をし「改善」を心掛け、周囲と協力しながら「楽しむ」ことができれば、きっと自分の仕事に誇りを持つことができるでしょう。そんなことを教えていただいた2日間でした。